日本臨床免疫学会会誌
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W2-1  キャッスルマン病におけるIL-6を含むサイトカイン発現の意義
吉崎 和幸谷川 美紀伊東 大貴Teiwari Purapa宇野 賀津子
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2012 年 35 巻 4 号 p. 302a

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抄録

  形質細胞型キャッスルマン病が,肥大したリンパ節から持続的にIL-6を産生する反応性のリンパ節腫大疾患であることを1989年に示した.本疾患にヒト化抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ,アクテムラ)を用いて治療した結果,臨床症状のみならず,ほとんどの検査異常の改善が見られた.このことから,本疾患がIL-6産生異常症であり,IL-6阻害による治療が可能であることを示した.しかしながら,中にはIL-6を阻害しても容易に正常化しない検査異常がみられたり,長期に亘る皮膚改善がみられない症例も存在した.このことは本疾患の病態にIL-6以外の因子の関与が示唆された.
  今回,患者血清中のサイトカインを治療前後で測定し,IL-6以外のサイトカインの産生の有無,及びIL-6に関連するサイトカイン,あるいは関連性の乏しいサイトカインの有無を検討したので報告する.また本疾患の場合,トシリズマブで長期コントロールし,異常所見が改善した症例においても,IL-6値が恒常的に高値を示した.ところで,関節リウマチの場合はアクテムラで治療開始後は上昇を示すが,症状改善と共にしだいに低下し,安定した場合は,減少し20-30 pg/l程度となる.このことは,本疾患が常にIL-6を産生し続けることが特徴で,その原因は現時点では不明である.キャッスルマン病における恒常的IL-6産生機序,ならびに本質的病因を推論する.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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