日本臨床免疫学会会誌
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Workshop
W2-2  間葉系幹細胞とGVHD
尾崎 勝俊
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2012 年 35 巻 4 号 p. 302b

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抄録

  今年に入ってカナダで正式に小児重症GVHDに対する間葉系幹細胞の使用が認められた.この世界で初めての細胞療法の使用承認を通して,今後の実地臨床での症例蓄積に期待が寄せられている.カナダに期待が集まるのは,これまで米国で少なくとも2つの第3相試験が実施されたものの,プライマリーエンドポイントで明らかな効果を示せず,FDAから承認されるに至っていないためである.試験を実施したOsiris社はこの第3相試験の結果についてサブ解析をおこなうと,肝臓と腸管のGVHDには効果が見られていると主張している.残念ながら論文化されていないため,結果を科学的に検証する術はない.この後,Osiris社は小児症例に的を絞り,カナダでの承認にこぎ着けた.一方,ヨーロッパの多施設共同第2相試験の結果は奏効率70%と良好であったにもかかわらず,その後の進展は発表されていない.この試験でも成人よりも小児で奏効率が高い傾向が見られた.ヨーロッパでの試験を推進してきた中心人物が今年の日本血液学会に招聘されており,何らかのUpdateがなされるものと思われる.日本国内では第1相試験が終了して高い効果が報告され,現在第2相試験に進んでいる.
  今回のワークショップではこれまでの臨床試験の結果を振り返りながら,間葉系幹細胞治療の未来について考える機会にできれば幸いである.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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