抄録
Cryopyrin-associated periodic syndrome(CAPS)はNLRP3遺伝子異常による自己炎症疾患であり,蕁麻疹様皮疹,無菌性髄膜炎,関節炎を3主徴とする.その病態は変異NLRP3遺伝子による過剰なIL-1βの産生が主因とされ,IL-1βの重要性は抗IL-1療法がCAPS患者に著効することでも支持されている.我々はヒト化抗ヒトIL-1βモノクローナル抗体であるcanakinumabのCAPS患者に対する第III相臨床試験にたずさわり,canakinumabは2011年9月,本邦で初めてCAPSに対する治療薬として承認された.またCanakinumab承認まで抗IL-1療法として個人輸入で使用されてきたanakinraのCAPSに対する治療効果について,本邦でanakinraが治療として用いられたCAPS患者を対象に疫学調査を行った.本レビュートークでは,Canakinumabの臨床試験とanakinraの疫学調査についてのべることにより,本邦におけるCAPSに対する治療の実際についてあきらかにし,今後のCAPS治療の展望について考察してみたい.