抄録
アダプター分子TRAF6(TNF receptor-associated factor 6)はNF-kBの活性化に関与し,自然免疫反応の制御において重要な役割を果たすが,近年T細胞における機能が注目されている.今回我々は,制御性T細胞特異的にTRAF6を欠損させたマウスは,著明な全身リンパ節腫脹・皮膚炎・関節炎を自然発症することを発見した.このマウスでは末梢リンパ組織におけるTreg数の増加を認める一方で,血清IgE値の著明な上昇や,脾細胞におけるIL-4, IL-10産生亢進・IgE産生細胞増加を認め,このマウスの炎症はTh2型であることが示唆された.
一方,TRAF6 flox/flox, Foxp3YFP -Cre/+マウスの解析より,TRAF6を欠損した制御性T細胞(TRAF6−/−Treg)がin vivoで不安定であることが示唆され,またRAG2欠損マウスやCD3ε欠損マウスなど免疫不全マウスへのナイーブT細胞と制御性T細胞の共移入実験の結果から,TRAF6−/−Tregはin vivoでIL-2の存在下でも充分に増殖することができず,ナイーブT細胞の増殖を抑制する機能が欠如していることが判明した.さらにこれらの免疫不全マウスへのTreg単独移入実験の結果より,TRAF6−/−Tregは不安定になりやすく,Foxp3発現を失った細胞集団からTh2サイトカインが産生される可能性が示唆された.これらを総合すると,TRAF6は制御性T細胞のin vivoにおける安定した生存増殖,およびTh2型炎症の抑制制御に重要な役割を果たしていると考えられる.