日本臨床免疫学会会誌
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W9-4  濾胞性ヘルパーT細胞の分化における可塑性とエピゲノム制御機構
中山田 真吾John O'Shea田中 良哉
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2012 年 35 巻 4 号 p. 320a

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抄録
  濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞は胚中心におけるB細胞の機能と抗体反応を制御する新規ヘルパーT細胞である.近年SLE等の自己免疫疾患においてTfh細胞の病因的意義が報告されつつあるが,その細胞分化の機序は不詳である.今回,サイトカインで誘導される転写因子のエピゲノム制御に着目してTfh細胞の分化機構を解明した.(1)インターロイキン(IL)-12を介したSTAT4の活性化はナイーブT細胞ヘTh1細胞の表現型に加えてIL-21の産生やBcl6の発現などTfh細胞様の表現型を誘導した.(2)STAT4で誘導されるT-betとBcl6との間には拮抗作用が存在し,細胞内外のシグナルによる両者の優劣関係がTh1細胞あるいはTfh細胞への分化偏向を規定した.(3)クロマチン免疫沈降-シークエンス法を用いたゲノムワイド解析の結果,Bcl6の遺伝子座における活性型のヒストン修飾はTfh細胞,Th1細胞のみならずBcl6を発現しないナイーブT細胞にも普遍的に認められ,Bcl6の転写が潜在的に準備状態であることを示唆した.以上の結果より,Tfh細胞は他のヘルパーT細胞サブセットと表現型を共有しながら分化成熟することが明らかとなった.すなわち,Tfh細胞の分化における可塑性は細胞内での転写因子群のバランスによるエピゲノム制御機構で決定されることが示唆された.
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© 2012 日本臨床免疫学会
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