日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-004  本邦におけるAicardi-Goutières症候群の遺伝子解析
西小森 隆太阿部 純也井澤 和司河合 朋樹八角 高裕満生 紀子小原 收豊島 至長谷川 一子一瀬 宏平家 俊男
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2012 年 35 巻 4 号 p. 328b

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抄録
【はじめに】Aicardi-Goutières症候群(AGS)は主に1歳未満に発症する早発型脳症である.大脳基底核石灰化,髄液IFN-α上昇などを特徴とし,約40%の症例に凍瘡様皮疹を認める.また5種類の病因遺伝子(TREX1, RNASEH2B, RNASEH2C, RNASEH2A, SAMHD1)が同定されている.
【目的】我々は寒冷誘発重症凍瘡を呈する1家系の解析から,昨年本邦初のAGSとその類似疾患であるFamilial Chilblain Lupusが混在する家系を報告した.現在本邦のAGS症例の集積と実態調査を行っており,経過を報告する.
【方法】全国の小児神経専門医ならびに神経内科専門施設を対象に,1852通のアンケートを実施し,最終的にAGS診断基準を満たす8名の患者を同定した.更に小児神経専門医や小児リウマチ専門医などから,当科に直接紹介された患者から7名のAGS患者(definitive 5名,probable 2名)を同定した.これら15名のうち,遺伝子解析について同意を得られた患者に対して,上記5遺伝子をダイレクトシークエンス法により解析した.
【結果】現在までに8名の解析が終了した.TREX1ヘテロ患者を3名同定したが,全てに凍瘡所見が見られた.またRNASEH2B, SAMHD1変異症例を各1名ずつ同定したが,残り3名は5遺伝子に異常を認めなかった.
【結論】近親婚が非常に稀な本邦でのAGS遺伝子解析では,通常多いとされる常染色体劣性遺伝形式より,稀な常染色体優性遺伝形式のTREX1変異症例が多く見られた.
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© 2012 日本臨床免疫学会
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