2012 年 35 巻 4 号 p. 340b
[目的]近年,IL-27が抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生に関与する事が報告されている.今回我々はSLEにおけるIL-27のIL-10産生調節性T細胞(Tr1)への関与につき検討した.
[方法]SLE,健常対象各14名より採血し,ELISAによる血清IL-27濃度の測定,RT-PCRによるPBMCのWSX-1発現,プレートコートしたCD3/CD28刺激IL-27添加によるin vitro CD4+CD25−T細胞培養上清中のIL-10, IL-21, IL-6, TGFbをELISA法にて測定し,IL-27添加によるSTAT1, STAT3のリン酸化をwestern blot法により測定した.
[結果]SLEにおいて血中のIL-27濃度が健常者と比し有意に増加し,PBMCにおいてWSX-1 mRNAの発現が健常者と比し有意に低下していた.CD4+ T細胞ではリコンビナントIL-27添加によりTh1サイトカインの産生増強,IL-17産生抑制,STAT1, STAT3が活性化された.
[考察]SLEでは活性化されたCD4+CD25−T細胞にIL-27の刺激が加わることによりSTAT1, STAT3が活性化されるが,レセプターであるWSX1の発現低下によりそのシグナルが伝わらずIL-10産生が低下し病態形成に寄与していることが想定された.