抄録
症例は44歳男性.平成13年,潰瘍性大腸炎(UC)を発症(全結腸型,軽症),当院外来でmesalazineを投与されていた.平成21年1月より,両手関節の疼痛が出現,リウマチ因子,抗CCP抗体は陰性で,UC関連の関節炎と診断され,NSAIDと少量ステロイドの投与により症状は軽快していた.平成22年9月より,両手関節,両手指MP・PIP関節,両股関節,両肩関節に疼痛が出現した.腹部症状の増悪はなかった.下部消化管内視鏡検査では,直腸からS状結腸にかけて,血管透見像の消失,微細顆粒状の粘膜,膿性粘液の付着した多発性の小びらんが認められた.ステロイド増量でも症状の改善がみられないため,平成23年1月より,インフリキシマブ5 mg/kgを0,2,6週,以後8週間隔で投与した.投与9ヶ月後には,腫脹および圧痛関節はほぼ消失し,Clinical Activity Index (CAI)は,5から1に低下した.内視鏡所見(Matts分類)では,インフリキシマブ投与前後で,grade 3から1に改善していた.UCの腸管外合併症としての関節病変の頻度は,6-26%と報告されており,治療としては,これまでNSAIDやステロイドが用いられてきた.最近,従来の治療に抵抗性のUCに対してインフリキシマブの投与が認可され,その有効例が増加しているが,関節症状に対する報告例は少ない.本症例では,難治性の関節炎が著明に改善し,インフリキシマブが腸管病変のみならずUC関連関節炎に対しても有効であることが確認された.