日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-081  関節炎に伴う骨量減少はIL-6阻害により改善する
吉田 広人鈴木 美穂橋詰 美里田中 圭介椎名 雅史松本 功住田 孝之松本 義弘
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2012 年 35 巻 4 号 p. 367a

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抄録

【背景】関節リウマチ(RA)患者における骨粗鬆症の有病率は,原発性骨粗鬆症患者の割合に比較し2~4倍多いことが報告されている.しかしながら抗IL-6受容体抗体であるtocilizumab治療がRA患者の骨粗鬆症に対して改善効果を発揮するかは不明である.
【目的】関節炎モデルを用い関節腫脹部位以外の骨量減少にIL-6が関与しているか明らかにする.
【方法と結果】Glucose-6-phosphate isomerase(GPI)誘導関節炎モデルはGPIをアジュバントとともに1回免疫し誘導した.GPI免疫から1週毎に大腿骨を採取し,遠位部海綿骨の骨量体積比と大腿骨全体の骨密度を測定すると,関節腫脹のピークであるday14まで骨量体積比,骨密度ともに顕著に減少し続けた.その後,関節炎の自然治癒に伴い骨量は回復していった.次にこの骨量減少にIL-6が関与しているか検討した.抗マウスIL-6受容体抗体(MR16-1)をday5に1回投与すると関節炎は有意に抑制した.day35時点でこのマウスから大腿骨を採取し解析したところ,コントロール群に比べて骨量体積比は有意に高く,骨密度も高い傾向にあった.
【考察】IL-6は関節炎によって誘導される大腿骨遠位部の海綿骨量の減少に関与していることが明らかとなり,IL-6阻害療法は炎症局所以外の骨粗鬆症に対し有効である可能性が示唆された.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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