日本臨床免疫学会会誌
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総説
自己免疫性関節炎の発症におけるTh17細胞と自然免疫の役割
橋本 求三森 経世
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2012 年 35 巻 6 号 p. 463-469

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抄録
  IL-17を産生するヘルパーCD4 T細胞(Th17細胞)は関節リウマチ(RA)などの様々な自己免疫性疾患の病態に重要な役割を果たす.IL-17は,好中球やマクロファージ,線維芽細胞,破骨細胞などに作用し,慢性炎症を惹起し,骨破壊を促進することで関節炎に寄与する.近年の自然発症のRAモデルマウスを用いた研究により,TLRやC-type lectin receptor,補体,ATPなど様々な自然免疫の活性化が,マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞に作用しIL-6やIL-23などのサイトカイン産生を介して,Th17細胞分化誘導を促し,自己免疫性関節炎を惹起するメカニズムが明らかとなってきた.ヒトRAにおけるTh17細胞の役割については未だ定まっていないが,自然免疫の活性化とTh17細胞の分化誘導は,少なくとも一部のRA患者において関節炎の発症にかかわっていると考えられる.これらの研究は,RAの発症メカニズムの解明やRA発症の予防,早期治療につながると考えられる.
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© 2012 日本臨床免疫学会
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