日本臨床免疫学会会誌
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症例報告
間質性筋炎を呈した慢性再発性多発性骨髄炎の1男児例
永嶋 早織野澤 智木澤 敏毅菊地 雅子宮前 多佳子今川 智之稲葉 裕里 龍晴橋本 邦生相田 典子横田 俊平
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2013 年 36 巻 1 号 p. 52-57

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抄録
  発熱と強い下肢痛筋痛を伴った慢性再発性多発性骨髄炎の1例を経験した.症例は11歳1か月の男児.10歳5か月頃から左鎖骨の自発痛を繰り返し認めた.10歳11か月時に発熱,右第1趾の腫脹・疼痛,下肢の疼痛が出現した.血液検査では筋原性酵素の上昇はなく,MRI検査から多発性筋炎が疑われた.筋生検では筋間質に炎症細胞の浸潤を認めた.11歳時より左鎖骨部の腫脹,皮膚の発赤が出現し,MRI検査にて骨髄炎が疑われた.左鎖骨の骨生検と細菌培養を行い,病理組織像は慢性炎症性変化で,細菌培養は陰性であった.FDG-PET/CTにより左鎖骨を含む多発性の骨病変を認めたことから,慢性再発性多発性骨髄炎(chronic recurrent multifocal osteomyelitis ; CRMO)と診断した.FDG-PET/CTでは大腿・下腿の筋にも集積を認め,画像的に筋炎の併発と診断した.非ステロイド性抗炎症薬とビスホスホネートにより症状は軽快したが,軽度の炎症反応が残存した.慢性再発性多発性骨髄炎に間質性筋炎を合併した報告はなく,症例の蓄積が必要である.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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