抄録
上咽頭癌18例に対して, 放射線・CDDP・5FU同時大量併用療法を施行し, その1次治療効果, 副作用, 転帰について検討した。1次治療効果: 原発巣と頸部を総合すると, 18例中CR2例, PR16例, 奏効率100%, CR率11%であった。原発巣のみでは, 奏効率100%, CR率28%であった。副作用: Grade 3, 4の白血球減少を78%に, また, Grade 3, 4の口内炎, 咽頭炎をそれぞれ83%, 89%と重症な骨髄抑制と口内炎, 咽頭炎を高率に認めた。転帰: 観察期間は6か月~45か月 (中央値23.5か月) で, 原病死2例 (いずれも原発巣), 担癌生存1例, 無病生存15例であった。再発は2例 (11%), 無再発生存は, 15例 (83%) であった。本法の短期的な治療成績は, ほぼ満足できるものの, 骨髄抑制や口内炎, 咽頭炎などの副作用に重症例が高率に認められるため, 治療方法の再検討が必要であると考えられた。