日本臨床免疫学会会誌
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スポンサードシンポジウム
スポンサードシンポジウム3  視神経脊髄炎に対するTocilizumab療法
荒木 学松岡 貴子中村 雅一三宅 幸子岡本 智子村田 美穂荒浪 利昌山村 隆
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2013 年 36 巻 5 号 p. 306

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抄録
 視神経脊髄炎は視神経と脊髄を主病変とする自己免疫性の中枢神経疾患であり,疾患特異的なマーカーとして脳・脊髄に豊富に存在するアクアポリン-4に対する自己抗体が陽性を示す.多発性硬化症に比して重症化しやすく,高度の視神経や身体機能障害を呈するのみならず,神経因性疼痛などの後遺症も薬物治療に抵抗姓を示すことも多い.
 過去に我々は抗AQP4抗体産生細胞としてPlasmablast(CD19+CD27highCD38highCD180)を同定し,その増殖にIL-6が重要であることを明らかにした.この結果よりIL-6シグナルを抑える薬理効果を有する抗IL-6受容体抗体tocilizumab(TCZ)を新規NMO治療薬の候補とし,その臨床効果と安全性を評価した(医師主導型臨床研究:UMIN000005889,UMIN000007866).
 女性4名,男性1名に,月1回TCZ 8 mg/kgを12ヶ月間投与し,年間再発回数(Annualized relapse rate : ARR),総合障害度評価尺度(Expanded disability status scale : EDSS),痛みと疲労の評価尺度(Numerical rating scale : NRS)が有意に改善した.また,多くの症例で抗AQP4抗体価が低下した.TCZ治療により再発回数の減少のみならず,治療抵抗性の慢性疼痛に効果を示したことから,難治性NMOに対する有望な治療選択肢になり得る.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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