日本臨床免疫学会会誌
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W5-1  IL12Bは高安動脈炎の新規疾患感受性遺伝子でありHLA-B*52 : 01と相互作用を示す
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2013 年 36 巻 5 号 p. 343a

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抄録

【背景】高安動脈炎は若年女性に多い難治性全身性血管炎である.HLA-B*52 : 01は人種を超えて関連するが,非HLA関連領域はこれまで知られていなかった.
【目的】全ゲノム関連解析(GWAS)にて高安動脈炎の疾患感受性遺伝子を同定する.
【方法】167人の高安動脈炎患者検体と663人の健常人検体をイルミナ社インフィニウムエクソームアレイを用いて247,730の一塩基多型(SNP)をタイピングし,関連解析を施行した.上位のSNPにつき212人の患者検体と1,322人の健常人検体を用いて追認解析を施行した.関連領域と高安動脈炎の代表的合併症である大動脈弁閉鎖不全症(AR)との関連を解析した.また,関連領域とHLA-B*52 : 01との相互作用を解析した.
【結果】GWASで5×10−5以下のp値を示した6SNPにつき追認解析を行った.メタ解析の結果,HLA-B*52 : 01(rs9263739)に加えIL12B(rs6871626)とMLX(rs665268)の新規2関連領域が同定された(p=2.8×10−21,1.7×10−13,5.2×10−7).IL12B領域のSNPはARの合併割合およびARの重症度,さらにCRPの時間平均と関連を示した(p=0.0046,0.0018,0.021).さらに,IL12B領域のSNPはHLA-B*52 : 01と高安動脈炎疾患感受性に相互作用を示した(p≦0.00028).
【結論】IL12B領域とMLX領域は高安動脈炎の新規疾患感受性領域である.IL12B領域の多型は高安動脈炎の発症と進展に関連を示し,HLA-B*52 : 01と相互作用を示す.IL12Bは高安動脈炎の病態に主体的役割を果たしている可能性がある.

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© 2013 日本臨床免疫学会
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