日本臨床免疫学会会誌
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W5-3  日常診療におけるIgG4関連疾患データベースの構築 —SMARTデータベース
山本 元久清水 悠以矢島 秀教石上 敬介田邉谷 徹也松井 美琴子鈴木 知佐子苗代 康可高橋 裕樹今井 浩三篠村 恭久
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2013 年 36 巻 5 号 p. 344a

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抄録

【目的】IgG4関連疾患(IgG4-RD)は,診療する機会の多い疾患になりつつあるが,実臨床では不明な点も多い.私達は,IgG4-RDの診療レベル向上を目指し,患者データベースを構築した.年ごとに内容を公表し,日常診療の一助になる情報提供を行うことを目的とする.【方法】2012年末時点において,当院に通院しているIgG4関連涙腺唾液腺炎107例の性差,平均年齢,臓器病変合併の頻度・内訳,悪性腫瘍合併率,ステロイド治療量,血清IgG4値,患者満足度,臨床的寛解率,再燃率,免疫抑制剤併用率を解析した.【結果】性差は等しく(男性52.1%),平均年齢は64.4歳で,60歳以上が7割を占めた.涙腺・唾液腺以外の臓器病変は58.9%にみられ,後腹膜線維症,自己免疫性膵炎,IgG4関連腎臓病が各2割を超えていた.悪性腫瘍の既往・合併は7.5%にみられた.ステロイド治療量は9割が10 mg/日以下で,4割の症例が血清IgG4値135 mg/dl以下だった.腫脹及び乾燥を自覚しない症例は41.8%であったが,医師判断による臨床的寛解率は72.0%であった.治癒率は6.5%であった.年間再燃率は19.0%,免疫抑制剤は12.1%に併用されていた.【結論】IgG4-RDはステロイドによる寛解導入は容易であるが,維持量が必要なことが多く,治癒は難しい.今後,病態の解明とともに新しい治療戦略が求められる.

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© 2013 日本臨床免疫学会
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