日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-11  IgG4関連包括診断基準からみた膵癌におけるIgG4陽性細胞浸潤に関する検討
内田 一茂福井 由理光山 俊行住本 貴美三好 秀明池浦 司島谷 昌明高岡 亮岡崎 和一
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2013 年 36 巻 5 号 p. 378a

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抄録
【目的】限局性の1型自己免疫性膵炎(LPSP)は,膵癌との鑑別で苦慮する例が少なくない.IgG4関連包括診断基準2011では,IgG4/IgG陽性細胞比40%以上,かつIgG4陽性細胞が10/HPFを超えるという項目がある.今回自験例においてLPSPと膵癌とそれに伴う膵炎において浸潤するIgG4陽性細胞について検討した.【方法】本学で手術された膵癌患者(PDA)21例(女性7名,男性14名;平均年齢67歳),LPSP 9例(女性5名,男性4名;平均年齢65歳)を対象に,IgG,IgG4,Foxp3陽性細胞について免疫組織学的方法を用いて検討した.【成績】IgG4/IgG陽性細胞の比率はLPSP 62.4%±5.9,癌部29.1%±4.5,膵癌隣接部位25.9%±5.4,膵癌上流の閉塞性膵炎21.0%±4.8とLPSPで有意に高値であった.IgG4陽性細胞数はLPSP 21.667±2.436,癌部5.183±1.061,膵癌隣接部位2.250±0.431,膵癌上流の閉塞性膵炎4.033±0.005個とLPSPが有意に高値であった.IgG4/IgG陽性細胞比40%以上の症例が癌部で21例中9例(43%),膵癌隣接部位で21例中6例(29%),膵癌上流の閉塞性膵炎で21例中3例(14%)認めた.IgG4/IgG陽性細胞比40%以上かつIgG4陽性細胞数が10/HPFを超える症例は膵癌上流の閉塞性膵炎で21例中1例(5%)に認めた.IgG4とFoxp3の相関関係はLPSPと膵癌上流の閉塞性膵炎においてのみ正の相関が認められた.【結論】膵癌とLPSPの鑑別においてIgG4/IgG陽性細胞比率およびIgG4陽性細胞数については注意が必要である.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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