日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P9-04  PTU治療で増悪したバセドウ病合併SLE患者の2例
亀田 智広尾崎 洋基土橋 浩章島田 裕美中島 崇作竹内 洋平泉川 美晴横山 倫子洲崎 賢太郎松永 卓也
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2013 年 36 巻 5 号 p. 418b

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抄録
【症例1】37歳女性,1998年SLEと診断.副腎皮質ステロイド,シクロホスファミドで寛解導入.201X年バセドウ病合併,チアマゾール(MMI)開始.経過中プロピオチオウラシル(PTU)に変更.PTU変更後6ヶ月で低補体,抗ds-DNA抗体上昇あり.8ヶ月で皮疹,発熱,尿検査異常,MPO-ANCA,PR3-ANCAが上昇.腎生検でループス腎炎4G(A/C)(ISN/RPS)診断.ANCA関連血管炎(AAV)を強く示唆する所見なし.PTU中止で改善なく,ステロイド+タクロリムスで治療も腎不全進行.IV-CYにて改善し免疫学的活動性も低下.【症例2】32歳女性,1999年SLEと診断.副腎皮質ステロイドで寛解導入.201X年バセドウ病合併,PTU開始.その後2ヶ月で白血球減少,皮疹,尿検査異常出現.PTU中止しステロイド増量,MMI開始.ステロイド増量1ヶ月で疾患活動性安定.【考察】AAV発症メカニズムの一部にNeutrophil extracellular traps (NETs)の異常が関与すると報告がある.PTUが異常なNETsの産生を誘導すること,誘導されたNETsのマウス移入によるAAVの惹起が報告されている.SLE患者でのNETs分解障害の報告があり,これが抗体産生を含め病態に関与すると報告されている.今回の2症例もNETs形成異常と分解障害が関与した可能性があり興味深い.
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© 2013 日本臨床免疫学会
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