日本臨床免疫学会会誌
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シンポジウム
シンポジウム1-4  次世代再生医療としての外分泌腺の器官再生
辻 孝
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2014 年 37 巻 4 号 p. 259

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抄録
  外分泌腺である唾液腺や涙腺は,水分やタンパク質成分をはじめとする分泌液により口腔や眼の湿潤環境,その機能や恒常性を維持する役割を担っている.老化や自己免疫疾患などにより外分泌腺の腺房細胞が委縮すると乾燥症が発症して口腔や眼の機能障害が発生するため,抜本的な治療法の開発が期待されている.
  私たちは,次世代再生医療としての「器官再生医療」の基盤技術として,単一化上皮性幹細胞と間葉性幹細胞から器官原基を再生するための「器官原基法」を開発し,歯や毛包の器官原基を再生して同所的に移植することにより機能的な器官再生が可能であることを示した.唾液腺の再生では,胎児の唾液腺上皮性幹細胞と間葉性幹細胞から唾液腺原基を再生し,唾液腺全摘出マウスモデルの耳下腺導管に再生唾液腺原基を接続し,生体内で唾液腺の再生を可能とした.再生唾液腺は,クエン酸刺激により口腔内へ再生唾液を分泌し,唾液腺摘出に伴う口腔内の洗浄機能や嚥下障害を機能的に回復可能であることを明らかにした(Nature Commun. 4, 2498, 2013).また同様の方法により,涙腺の機能的な再生も可能であることを実証し(Nature Commun. 4, 2497, 2013),分泌腺の器官再生により口腔や角膜乾燥症に対する新たな治療法の実現可能性を示した.
  本シンポジウムでは,次世代再生医療としての外分泌腺の再生を目指した研究の進展について紹介し,その現状と課題を考察したい.
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© 2014 日本臨床免疫学会
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