抄録
生体という小宇宙の中では,多種多様な細胞が生きて,動いている.2光子励起顕微鏡などを用いた近年の生体イメージング技術は,この生きた細胞の生きたままの動きのある世界を捉えることを可能にしてきた.本講演では,演者がこれまで行ってきた骨髄や免疫組織の生体イメージング研究を紹介し,見ることによって初めて分かった様々な免疫細胞の巧妙な動きとその制御について解説する.
演者は特に,従来極めて困難であると考えられていた,生きた骨組織・骨髄腔の内部を高い時空間分解能で観察することに世界に先駆けて成功し,古い骨を吸収して骨代謝を調節する破骨細胞のin vivoでの活性制御機構を解明した.彼らの姿を動的にイメージングしてみると,骨表面に貼り付いた破骨細胞は,実際に骨吸収を行う「骨吸収型(R型)」と,吸収機能が休止した「非吸収型(N型)」を常に遷移しており,様々な局所の刺激によってR型⇔N型のスイッチングが起こることが観察された.例えば関節炎症での骨破壊に関与すると知られていたTh17は骨表面にいるN型の破骨細胞に直接作用し,R型へと機能変化させることにより急速かつ強力な骨破壊を誘導していることが明らかとなった.本講演では,これら生体イメージングの研究技術・成果の解説に加えて,本技術を活用して得られた生命の動的システムのイメージング研究の実際や今後の発展性について概説する.