日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-010  関節リウマチにおける新たなバイオマーカーとしてのThrombospondin-1(TSP-1)の検討
鈴木 貴久岩本 直樹山崎 聡士西野 文子中島 好一寳來 吉朗川尻 真也一瀬 邦弘玉井 慎美中村 英樹折口 智樹大山 要黒田 直敬尾崎 誠江口 勝美川上 純
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2014 年 37 巻 4 号 p. 340b

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抄録

【目的】私たちは関節リウマチ(RA)患者の新たなバイオマーカーとして血清中のThrombospondin-1(TSP-1)を含む免疫複合体の有用性を報告した.今回fibroblast-like synovial cells(FLS)におけるTSP-1制御機構の検討及びRA患者における抗リウマチ治療前後でのTSP-1の推移について検討を行った.【方法】RA患者及び変形性関節症(OA)患者の滑膜組織及び同部位より得られたFLSを用いた.TSP-1の発現はLSAB法を用いた免疫染色にて評価した.また,FLSをサイトカイン刺激下で培養し定量RT-PCR法及びELISA法を用いてTSP-1の発現量を評価した.実臨床における評価として,抗リウマチ治療前後での血漿中TSP-1を測定し臨床活動性指標との相関を検討した.【成績】各2例の検討において,OAと比較しRA患者の滑膜組織でTSP-1の発現は滑膜表層主体に亢進していた.サイトカイン刺激における4例の検討ではTGF-β刺激によりRA患者由来培養FLSのmRNA及び蛋白発現量が最大となった.実臨床16例の検討において抗リウマチ治療前後でのTSP-1の変化率はDAS28ESR変化率と有意な相関を認めた.(p=0.007,rs=0.69)【結論】RA患者の滑膜組織においてTSP-1の発現は亢進しており産生にはTGF-βが関与すると考えられた.実臨床においてTSP-1は疾患活動性指標と良く相関しており,治療反応性に対するバイオマーカーとしての有用性が示唆された.

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© 2014 日本臨床免疫学会
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