日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
一般演題(ポスター)
P3-001  制御性B細胞の分化誘導因子と作用機序に関する検討
吉崎 歩宮垣 朝光TEDDER Thomas
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 37 巻 4 号 p. 341a

詳細
抄録

  免疫学のめざましい発展により,B細胞の役割は単に抗体を産生するのみではないことが明らかとなってきた.B細胞が持つ多彩な働きとして抗原提示,T細胞をはじめとする他の免疫担当細胞の活性化と分化誘導,サイトカインの産生などが挙げられるが,近年,IL-10を産生する新しいB細胞サブセットが同定され,臨床と研究の双方において注目を集めている.制御性B細胞と名付けられたこのIL-10産生性B細胞であるが,種々の自己免疫疾患モデルマウスを用いた検討では優れた疾患改善効果を呈するものの,その分化誘導因子と免疫抑制における作用機序は不明のままであった.今回我々は網羅的に様々なサイトカインでB細胞を刺激し,胚中心でB細胞の分化に重要な役割を果たすIL-21が,強力に制御性B細胞を誘導することを発見した.加えて,実験的自己免疫性脳脊髄炎を用いた検討で,ミエリン関連蛋白で免疫したマウスから得られた制御性B細胞はより効率的に炎症を抑制すること,MHC class II欠損マウスから得られた制御性B細胞ではこの炎症抑制作用は失われることから,制御性B細胞は主にT細胞とのcognate interactionを介してその免疫抑制機能を発揮することを示唆した.さらにCD40とBAFFを共発現する線維芽細胞をfeederとして用いることで,制御性B細胞を400万倍まで増殖するシステムを構築した.今後,新しい治療法としてヒトへの応用が期待される.

著者関連情報
© 2014 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top