日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P3-002  バセドウ病と橋本病の感受性にそれぞれ異なる関連を示すTSHR遺伝子の機能的多型
渡邉 幹夫井上 直哉勝又 由佳日高 洋岩谷 良則
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2014 年 37 巻 4 号 p. 341b

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抄録

【背景】TSH受容体をコードするTSHR遺伝子のrs179247多型(A/G)は,AA genotypeのときに可溶性Aサブユニット生成の増強を通して刺激型TSH受容体抗体の出現に関与していることが報告されている.本研究では自己免疫性甲状腺疾患であるバセドウ病と橋本病について,この多型と疾患感受性や病態との関連を調べた.【対象】バセドウ病患者112例(難治群50例,寛解群33例を含む),橋本病患者98例(重症群44例,軽症群33例を含む),健常人56例をそれぞれタイピングした.【結果】バセドウ病患者においてAA genotypeが健常群より高頻度であった一方,橋本病患者ではGG genotypeが健常群より高頻度であり,A alleleはバセドウ病患者で橋本病患者より高頻度であった.AA genotypeやA alleleは難治性バセドウ病患者で寛解群より高頻度であり,GG genotypeは重症橋本病患者で多かった.AA genotypeのバセドウ病患者はその他の遺伝子型に比べて50歳未満での発症者が多かった.【結語】TSHR遺伝子rs179247多型のAA genotypeとGG genotypeはバセドウ病と橋本病の疾患感受性にそれぞれ関係しており,バセドウ病の難治性と橋本病の重症度ともそれぞれ関係していた.

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© 2014 日本臨床免疫学会
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