抄録
【目的】当院で治療された悪性腫瘍を合併した皮膚筋炎(DM),多発性筋炎(PM)患者について,臨床像,治療経過,更に筋炎特異的抗体との臨床的な関連を検討する.【方法】2002年~2013年度に当院で加療された悪性腫瘍合併筋炎13例を対象とした.また当院に継続通院している抗Jo-1抗体陰性例7例について筋炎特異的抗体を測定した.【結果】年齢は64.9±10.5歳(平均±標準偏差),女性6例,男性7例,DM11例,PM2例であった.悪性腫瘍の内訳は胃癌4例,大腸癌3例,肺癌3例,乳癌2例,不明腺癌1例であった.筋炎に対する加療が行われたのは9例,4例は無治療であった.悪性腫瘍の経過は改善または寛解6例,不変1例,再発1例,死亡2例,3例は転医の為経過不明であった.悪性腫瘍治療後の筋炎の再燃は1例のみであった.筋炎特異的抗体陽性例は抗Jo-1抗体3例,抗MDA-5抗体1例,抗TIF1抗体1例,抗Mi-2抗体1例,3例は陰性であった.【結論】筋炎に悪性腫瘍が好発し,筋炎の病勢が影響を受ける事は広く知られている.今回の検討では悪性腫瘍の治療後は筋炎症状が沈静化した症例が殆どであった.また本検討では筋炎特異的抗体と悪性腫瘍の間に特記すべき関連は見られなかったが,悪性腫瘍を高率に発症する抗体が陽性の症例については長期の経過観察をするなどの予後予測が可能となると考えられる.