日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P4-005  乳癌患者における自己抗体特異性とホルモン受容体発現との関連
田中 晋永松 有紀MERCADO Monica Vazquez-DelDANERI-NAVARRO AdrianCHAN Jason Y.F.CALISE S. JohnCHAN Edward K.L.佐藤 実
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2014 年 37 巻 4 号 p. 348a

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抄録

  癌患者でも自己抗体の産生が報告されているが,全身性自己免疫性リウマチ性疾患(SARD)関連自己抗体の検討は少ない.本研究では乳癌患者における自己抗体特異性と癌の臨床的,病理学的,免疫組織化学的所見との関連を追求することを目的とした.【方法】メキシコ人乳癌患者152名の血清自己抗体は免疫沈降法,ELISAで検索した.自己抗体特異性と乳癌の組織型,免疫組織化学でのエストロゲン受容体(ER),プロゲステロン受容体(PGR),上皮成長因子受容体2(HER2)発現などとの関連を分析した.【結果】抗TIF1γ抗体(n=2),Ro60(n=6),Ro52(n=9),Su/Ago2(n=4),PM-Scl(n=1),DFS70(n=8)が検出された.DFS70を除いたSARD関連抗体(+)群(n=19)ではER(+)が陰性例(n=133)に比べ高かった(37% vs 65%,P<0.05).抗体特異性別では抗Ro60(+)群で陰性群に比しER(+)(33% vs 65%),PGR(+)(33% vs 58%)が低くHER2(+)は高く(100% vs 50%,p=0.06),HER2,3+はRo60群で多かった(60% vs 20%,p=0.07).DFS70(+)はPM-Scl(+)1例以外はSARD関連抗体と重複なく,ER(+)50%,PGR(+)75%,HER2(+)38%(3+染色13%)とSARD関連抗体やRo60(+)と逆の関連がみられた.【結語】自己抗体特異性と乳癌組織ホルモン受容体発現に関連がみられた.受容体の刺激は自己抗原の発現やリン酸化に影響を与えることが報告されており,これらの変化が自己抗体産生に関与する可能性が示唆された.

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© 2014 日本臨床免疫学会
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