日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P5-006  AAアミロイドーシスにおけるIL-6による血清アミロイドAA(SAA)産生メカニズムとそのIL-6標的治療
吉崎 和幸PLABHA Tiwari中澤 宗健松村 哲平荻原 圭祐伊東 大貴
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2014 年 37 巻 4 号 p. 353b

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抄録
  AAアミロイドーシスは慢性炎症性疾患に続発する二次性アミロイドーシスである.現在では関節リウマチ(RA)に合併する例が90%であり,それ以外では血管炎やベーチェット病,スティルス病,クローン病,キャッスルマン病などがある.本疾患のAA蛋白の前駆物質は血清アミロイドA(Serum amyloid A, SAA)で,長期産生にて一部AA蛋白に変性し全身の臓器,特に腎臓や消化管に沈着して臓器障害をきたす.我々はIL-6がSAA産生必須であることを示し,SAA発現における細胞内シグナル伝達機序を明らかにし,さらにSTAT3がSAAプロモーター領域に,従来のresponse element(RE)とは異なる新たなSTAT3REの存在を示唆した.このことはIL-6が作用する遺伝子はSTAT3を介して従来考えられている遺伝子よりも多いと推測でき,IL-6の炎症における作用は広いと思われる.このため慢性炎症ではIL-6の上昇に伴い血中SAA値が上がる.事実RAにおいてSAAは上昇しヒト化抗IL-6レセプター抗体(トシリズマブ,アクテムラ)によりSAA値の正常化が認められた.そこで,RAに伴うAAアミロイドーシス患者に対するトシリズマブ治療研究を行うと,SAA値の正常化と共に組織中のAAアミロイド蛋白や尿蛋白の減少が有意に認められた.同時にTNF-α阻害薬またはMTXによる非トシリズマブ群との群間比較でも有意差が認められた.以上により,トシリズマブによるIL-6阻害治療はSAA産生を抑制し有効な治療法であることが示された.
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© 2014 日本臨床免疫学会
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