日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P6-001  CD4陽性CD25陰性LAG3陽性制御性T細胞による自己抗体産生制御機構
岡村 僚久藤尾 圭志森田 薫井上 眞璃子駒井 俊彦岩崎 由希子住友 秀次渋谷 美穂子庄田 宏文山本 一彦
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2014 年 37 巻 4 号 p. 356a

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抄録

【背景・目的】全身性エリテマトーデス(SLE)の病態形成には,免疫寛容破綻によるB細胞活性化および自己抗体産生と,自己反応性T細胞の活性化が関与していると考えられている.近年,T細胞特異的early growth response gene-2(Egr2)コンディショナルノックアウト(CKO)マウスがSLE様の病態を呈すること,また,EGR2はSLE感受性遺伝子の一つであることが報告され,SLE発症機序におけるEgr2の関与が強く示唆されている.当研究室では,転写因子Egr2を特異的に発現するCD4陽性CD25陰性LAG3陽性制御性T細胞(以下,LAG3+ Treg)を報告しており,今回我々は,Fas変異遺伝子lprを有するSLEモデルMRL/lprマウスを用いてSLE病態形成におけるLAG3+ Tregの機能解析を行った.【方法・結果】lpr変異遺伝子を有さないMRL/+ LAG3+ TregのMRL/lprマウスへの養子移入は,MRL/lprマウスにおける抗dsDNA抗体価および腎炎の進行を著しく抑制した.一方,MRL/+ CD4+CD25+ Tregを始めとする各種T細胞サブセットの養子移入は治療効果を認めなかった.さらに,C57BL/6バックグラウンドマウスを用いた実験系では,B6/lprマウスおよびEgr2 CKOマウスから回収したLAG3+ Tregは野生型LAG3+ Tregと比して,抑制性サイトカイン産生能およびB細胞抑制能が著しく減弱していた.【考察】以上の結果より,LAG3+ TregはEgr2およびFas依存性に自己抗体産生を制御し,SLE病態形成抑制において中心的役割を果たすと考えられた.

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© 2014 日本臨床免疫学会
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