抄録
【背景】慢性肉芽腫症(CGD)は食胞表面のNADPH酸化酵素の異常により貪食細胞機能不全をおこす先天性免疫不全症である.CGDは骨髄移植によって治療されているが,HLA適合ドナーは必ず見つかるとは限らない.我々はCGDのモデルであるgp91phox-/-mouseにMHC不一致の臍帯血を移植しその治療効果を評価した.【方法】gp91phox-/-/C57B6(CGD mouse:H-2b)をhostとし,移植前日に抗AcialoGM1抗体投与によるNK細胞除去と5Gy全身放射線照射を行った.翌日,C57BL6×BALBc F1(H-2b/d)の胎生18.5日臍帯血(1.0×106cell)を抗CD40L抗体投与と同時に静脈内投与した.臍帯血移植2ヶ月後にFACSにてドナー細胞が生着したこと,ドナー由来好中球がNADPH活性を持つことを確認した.これらのマウスの耳介にアスペルギルス死菌を注射し,3日後の耳介の肉芽腫の有無により治療効果を検討した.【結果】移植後7週の末梢血のキメラ率は約70%であった.未治療のCGD mouseはアスペルギルス死菌皮下注により肉芽腫病変を生じたが,キメラマウスは全例が肉芽腫をつくらなかった.【考察】MHC-haploidentical臍帯血がCGDの治療に利用できる可能性が示された.これは,親子間幹細胞移植の適応を示唆する結果である.