日本臨床免疫学会会誌
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総説
表皮角化細胞死を伴う苔癬反応(Lichenoid tissue reaction)/Interface dermatitisを呈する皮膚粘膜疾患とマウスモデル
沖山 奈緒子
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2015 年 38 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
  皮膚免疫疾患の病理学的分類では,湿疹反応,乾癬様反応に加え,苔癬反応(Lichenoid tissue reaction: LTR)/Interface dermatitis(IFD)と呼ばれる共通する所見を呈する疾患群がある.LTR/IFDに含まれる疾患は,扁平苔癬,紅斑性狼瘡(lupus erythematosus: LE)・皮膚筋炎・混合性結合織病の皮疹や骨髄移植患者の急性移植片対宿主病のような自己免疫疾患から,中毒性皮膚壊死症・Stevens-Johnson症候群のような薬疹まで多岐に渡る.主な病態は,Interferon-γやFasLを介した,CD8 T細胞による角化細胞アポトーシスの誘導であり,形質細胞様樹状細胞の関与も報告された.病態解析のために様々なマウスモデルが作られ,その代表的なものは,角化細胞膜上に卵白アルブミン(OVA)を強制発現させ,OVA特異的T細胞受容体を持つCD8 T細胞を養子移入して発症させる系である.マウスモデルの解析により,JAK阻害薬などの新規治療法候補が挙げられてきており,臨床応用が待たれる.
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© 2015 日本臨床免疫学会
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