2015 年 38 巻 4 号 p. 299
多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM)は,膠原病内科,皮膚科,神経内科で診療されてきており,その内容は3科で少しずつ異なり埋めがたい溝があった.その意味で,この疾患には共通の免疫病態を異なった見方でphysician-scientistsが語り合う日本臨床免疫学会の縮図がある.日本臨床免疫学会に属する私達はこの溝を埋めるべく数年前から活動してきた.厚生労働省自己免疫疾患研究班内でのPM/DM分科会の設置,2013年に本学会総会と日本神経免疫学会学術集会との合同開催はその象徴である.同分科会では,自己免疫疾患研究班住田班長の指導と同班構成員の協力の下に,新しいPM/DM国際診断基準の我が国の患者での検証を行うとともに,3科が合意できる治療ガイドラインを作成してきた.
治療のアルゴリズム,副腎皮質ステロイド薬の使い方,考慮すべき免疫抑制薬の種類と投与方法,大量免疫グロブリン静注療法の使いどころ,生物学的製剤の可能性,筋炎以外の病態や合併症に対する治療,活動性評価法,リハビリテーションまでにわたるクリニカルクエスチョンに答えることができた.
このガイドラインは,まさに臨床免疫学会メンバーの努力の結晶といえる.今後加わるべきは,新たな診断基準の使い方である.さらに小児皮膚筋炎診療も含めなくてはならない.PM/DMをめぐる臨床免疫学の挑戦は続く.