日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
一般演題(ポスター)
P4-013 急性期タンパクLRGのTリンパ球分化に対する影響
宇留島 隼人藤本 穣岩橋 千春大河原 知治本田 宏美世良田 聡仲 哲治
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 38 巻 4 号 p. 335a

詳細
抄録

  【背景】以前,我々は疾患活動期の関節リウマチ(RA)患者血清から,新たな急性期タンパクとしてleucine-rich α2-glycoprotein(LRG)を同定した.LRGは炎症部位である滑膜においても発現が認められるが,その役割は不明である.最近LRGがTGF-βシグナルを調節する事が報告された.TGF-βはTh17やTregの分化に必須であり,また,Th17やTregは破骨細胞分化制御などRAの病態に重要な役割を果たす事から,LRGはTリンパ球分化を介してRAの病態に関与する可能性がある.本研究ではLRGのTリンパ球分化における役割を解明し,関節炎病態におけるLRGの関与を検討することを目的とした.【方法】WTよりナイーブT細胞を分離し,LRGの有無によるTh17およびTreg分化への影響を調べた.雄C57/BL6マウス(WT)およびLRGノックアウトマウス(KO)にコラーゲン誘導関節炎(CIA)を惹起した.【結果】TGF-β単独存在下ではLRGの添加によってナイーブT細胞からTregの分化が促進されたが,TGF-βに加えIL6が存在するとLRGによってSTAT3のリン酸化が増強されTh17細胞への分化も促進された.CIA誘導時には,WTに比べLRG KOで,所属リンパ節におけるTh17数や血清IL17値が有意に低値を示した.【考察】TGF-bとIL6が共存する炎症状態において,LRGはナイーブT細胞のSmadおよびSTAT3のリン酸化を増強することによってTh17の分化を促進し,関節炎病態に関与している可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2015 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top