2015 年 38 巻 4 号 p. 337a
【背景/目的】がんに対するペプチドワクチン単独での臨床効果は不十分と言わざるを得ない.松島らはマウスモデルを用いて,制御性T細胞を含むCD4+細胞を減少させることのできる抗CD4抗体の抗腫瘍効果を証明しており,ヒト型抗CD4抗体の進行固形がんを対象とした医師主導治験を計画している.今回我々は,マウスモデルを用いて抗CD4抗体併用によるペプチドワクチンの増強効果を検討した.【方法/結果】C57BL/6マウスにOVA257-264ペプチドワクチンを7日ごとに2回尾根部皮内投与し,様々なスケジュールで抗CD4抗体(GK1.5)を1回腹腔内投与して,ペプチド特異的CTLの増加・増強を,IFN-γ ELISPOT assay, CD107a assay, cytokine assayで評価した.OVAペプチドワクチン単独群に比べ,抗CD4抗体を併用した群で明らかにペプチド特異的CTLの数が増加し,機能も向上することが示された.さらに,肝転移モデルによりOVA発現マウス胸腺腫のEG7やマウスメラノーマのMO4を用いて抗CD4抗体とOVAペプチドワクチン併用による転移抑制効果の増強が示唆された.抗CD4抗体との併用によりペプチドワクチンの効果増強ができることがマウスモデルで明らかになった.