抄録
サーファクタントプロテインD(SP-D)は肺コレクチンの一種であり,肺において病原性微生物に対する感染防御に重要な役割を果たすことが分かっているが,肺以外での機能や常在菌に対する影響はよく分かっていない.本研究では肺以外でのSP-Dの新しい役割を明らかにすることを目的として解析を行った.
まず,各臓器においてSP-D mRNAの発現を解析したところ,胆嚢において著明に高く発現していることが明らかとなった.さらに,ELISAにより胆汁中にSP-Dが多量に分泌されていることも判明した.そのため,消化管内のSP-D産生を解析したところ,小腸や大腸ではSP-D mRNAの発現がほとんど認められないにも関わらず,大腸内容物からSP-Dが検出された.これらの知見からSP-Dが胆嚢で産生され,消化管内で機能する可能性が示唆された.そこで,SP-Dが微生物に結合して増殖を制御する機能が知られていることから,野生型マウスとSP-D KOマウスの腸内細菌叢を比較解析したところ,大腸炎に関わる細菌群に有意な差が認められた.この結果と一致して,SP-D KOマウスはDSS誘導性の大腸炎に著明な感受性を示した.以上の解析より,腸内細菌叢の制御というSP-Dの腸内での新しい機能が明らかになった.本演題では上記の知見にさらに最新の解析結果も加えて発表する.