日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P7-028 多彩な自己抗体を認めたIgG4関連疾患-末梢血CD8+T細胞受容体(TCR)Vβ鎖の著しい偏りは疾患特異的な現象である-
馬場 識至角田 慎一郎谷内江 昭宏東 幸太田村 誠朗松井 聖佐野 統
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2015 年 38 巻 4 号 p. 361b

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抄録

  IgG4関連疾患は血清IgG4高値のみならず,組織へのIgG4陽性形質細胞の浸潤像を認めて初めて確定診断となる.IgG4が高値であったが,多彩な自己抗体を認め,皮膚,口唇唾液腺組織では確定診断できず,末梢血中のCD8+TCRVβの著しい偏り(25.5%)よりIgG4関連疾患を強く疑い腎生検組織にて確定診断のついた症例を報告する.症例:68歳,女性.主訴:発熱.現病歴:半年前より微熱を認め,3ヶ月前より38度以上の弛張熱,全身倦怠感,関節痛を認め近医よりANA高値,低補体血症を認め紹介入院.体幹部に丘疹が散在.両鼠径部にリンパ節触知.血液検査:RF107.7,ANA640倍(Ho, Ce),抗dsDNA抗体17,抗DNA抗体 < 2,抗SS-A抗体12.3,抗SS-B抗体10.3,抗セントロメア抗体111,抗Jo-1抗体40.0,抗ARS抗体8.0,IgG2 437,IgG4 471,C3 33,C4 < 1,C1q 20.6,好酸球数778,IgE1 650,sIL-2R 2820,尿検査:蛋白(−),潜血(−),尿中NAG 10.4,尿中β2MG 7444.CT,超音波画像所見は,胆のう壁の肥厚,肝外胆管の軽度拡張,肝門部のリンパ節の軽度腫脹のみ.Gaシンチでは異常集積なし.入院後,加療前に解熱したが,低補体血症は進行し,確定診断後にステロイドパルス療法(500mg×3日間)とPSL20mgより内服治療を開始し経過は順調である.我々はCD8+TCRVβの著しい偏りがオリゴクローナルに増加したeffector memory T細胞を反映しIgG4関連疾患に特異的な現象であると報告しており,本症例でも診断の補助となった.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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