日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P8-006 発症時に自己免疫性水疱症が疑われた水疱性ループスエリテマトーデスの1例
高嶋 渉知野 剛直徳力 篤尾山 徳孝長谷川 稔
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2015 年 38 巻 4 号 p. 371b

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抄録

  79歳女性.初診の1ヶ月前より口腔内潰瘍が出現.その後,体幹・四肢に浮腫性紅斑と小型の水疱が出現し,当科を受診.自己免疫性水疱症を疑ったが,血清中の天疱瘡および類天疱瘡抗体(抗Dsg1,抗Dsg3,抗BP180,抗BP230抗体)は全て陰性.抗核抗体は320倍で,疾患標識抗体としては抗SS-A抗体のみが陽性.紅斑部の皮膚病理所見では,基底膜部の液状変性と真皮の血管や付属器周囲にリンパ球や好中球の浸潤が認められた.蛍光抗体直接法では,紅斑部にIgGとC3,前腕の無疹部にはIgG,IgM,C3が基底膜に沿って帯状に沈着し,紅斑部と無疹部の真皮血管壁にIgGとC3の沈着がみられた.蛍光抗体間接法で同定した基底膜のIgG沈着は,1M食塩水剥離ヒト皮膚を用いた間接法では真皮側の基底膜に一致していた.
  発熱や関節痛などの全身症状はなかったが,免疫組織学的所見より水疱性ループスエリテマトーデスと考えてプレドニゾロン30mg/日の内服を開始した.口腔内潰瘍が難治で,顔面や耳介,手掌,足底に紅斑,体幹・四肢に多発する環状紅斑が出現し,エリテマトーデスの全身症状の出現も危惧された.ステロイドパルス療法を施行したところ,皮膚や粘膜の症状は劇的に改善した.初診から10ヶ月後の現在,プレドニゾロンを6 mg/日まで減量しているが,再燃を認めない.その後の検討で,血清中にVII型コラーゲンに対するIgG抗体を同定した.本症の特異な臨床経過ならびに免疫学的所見について考察する.

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© 2015 日本臨床免疫学会
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