ケモカインは細胞遊走に関わるサイトカイン様分子であり,炎症細胞の遊走により炎症性疾患に関わる.関節リウマチ(RA)の滑膜組織では多数のケモカイン発現がみられ,リンパ球,単球/マクロファージなどの炎症細胞浸潤,さらに,滑膜細胞の活性化,血管新生にも関与していると考えられている.これまでに,関節炎モデル動物ではCCL2, CCL3, CCL5, CCR1, CCR9, CXCL2, CXCL5, CXCL13, CXCL16, CXCR3, CXCR4, CXCR7, CX3CL1の阻害による関節炎抑制効果が報告されている.RA患者への投与も試みられており,CCR1阻害薬,抗CXCL10抗体による関節炎抑制が見られた.しかしながら,マクロファージやT細胞浸潤抑制が期待されたCCL2,CCR2,CCR5の阻害ではRAに効果は認めなかった.さらなる臨床試験の推進が期待される.