日本臨床免疫学会会誌
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総説
関節リウマチにおける抗リウマチ薬と帯状疱疹
山岡 邦宏
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2016 年 39 巻 3 号 p. 181-189

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抄録
  関節リウマチの治療は生物学的製剤の登場により飛躍的に発展したが,多くの患者では治療目標に到達できていない.近年,細胞内チロシンキナーゼであるJanus kinase(JAK)を標的とした阻害薬が生物学的製剤に類似した治療効果を示し注目されている.現在,複数の新たなJAK阻害薬の治験が進行中であるが,唯一抗リウマチ薬として承認されているトファシチニブにおいて帯状疱疹(HZ)の発症率が既存の抗リウマチ薬と比較して約2倍に,特に本邦では約4倍に増加することが明らかとなっている.しかし,HZ発症率上昇のメカニズムと人種差については明らかとなっていない.危険因子は年齢とステロイド投与が挙げられているが,これらはRA患者におけるHZ発症危険因子でもありトファシチニブに特有なものではない.また,HZ発症自体がその後の有害事象を予測する因子でもないことが明らかとなっており,RA患者におけるHZ発症の意義については,本邦における市販後全例調査を含め,多数例の長期にわたる臨床データの集積が重要である.
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© 2016 日本臨床免疫学会
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