2016 年 39 巻 4 号 p. 295
システムバイオロジーが提唱されてから20年という節目が迫りつつある.その間のこの分野の進展には目を見張るものがある.多くの基礎的な研究に応用され始めたことはもとより,システムバイオロジーの考えを利用した創薬が現実的な可能性として注目され始めている.分子標的創薬をより有効かつ効率的に遂行する上においても,さらにネットワーク創薬へと進む上においても,システム的アプローチは今後の製薬企業にとってはコア・コンピタンスとなる領域である.また,日本,米国,欧州において,大規模モデル構築や共通プラットフォームの開発など,プリコンペティティブな領域での活動も以前にもまして活発化している.
本講演では,システムバイオロジーの展開を振り返るとともに,その医療への応用,特にシステム創薬の展開をレビューするとともに,今後の展開・問題点やHuman Immunologyへの可能性について,より具体的な展開を議論する.