日本臨床免疫学会会誌
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シンポジウム
シンポジウム2-5 特殊ペプチド医薬による創薬とHuman Immunologyへの展望
窪田 規一
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2016 年 39 巻 4 号 p. 296

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抄録

  移植医療の成功率を飛躍的に増大させたサイクロスポリンは通常のペプチドとは異なりD-アミノ酸やN-メチルアミノ酸が組み込まれた構造をもった特殊ペプチドであった.特殊ペプチドはその物理的特性から,多岐にわたるターゲットタンパクへのアクセスが可能であり,新しい創薬開発の可能性を示唆させるものであるが,今まで特殊ペプチドを体系的に創薬システムに組み込むことは困難であった.我々はフレキシザイム(Flexizyme)という人口リボザイムを開発する事により無細胞翻訳合成系による特殊ペプチドの大規模ライブラリー創製を可能とした.さらに独自のディスプレイシステムを組み合わせることにより世界で初めて,唯一の特殊ペプチド創薬開発プラットフォームシステム「PDPS(Peptide Discovery Platform System)」を完成させた.PDPSにより創出される特殊ペプチドは分子量1,500程度でありながら抗体に匹敵する特異性と結合力を持っており,細胞内を含めタンパク-タンパク相互作用(PPI)阻害剤などの機能を有することができる.今後,開発が進むことにより多くの次世代医薬品が提供できると確信している.本シンポジウムではPD-1/PDL-1特殊ペプチドなどの実例を踏まえ,特殊ペプチド創薬の可能性に関してその片鱗を紹介できればと考えている.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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