2016 年 39 巻 4 号 p. 314
自己免疫疾患の病態におけるB細胞の重要性は,B細胞標的療法の臨床効果によって再認識された.ただここで注目すべき点は,B細胞の抗体産生だけにとどまらない様々なエフェクター機能の存在である.サイトカインは細胞間の機能制御に関わる分泌蛋白であるが,この蛋白の自己免疫疾患における重要性もバイオ製剤の台頭によって証明された.CD4+ヘルパーT(Th)細胞のエフェクター機能は主にサイトカイン産生を介したものであり,この特性をもとに古典的Th1, Th2にはじまり様々なThサブセットも現在まで明らかになった.各種表面マーカーにてこうしたThサブセットはヒト疾患でも解析されている.近年,B細胞のエフェクター機能にもサイトカイン産生が重要なことが明らかになってきた.B細胞のTNFやIL-6産生はよく知られているが,IL-10などの抑制性サイトカインの産生を介した機能制御も着目されている.B細胞にも表面マーカー等に基づいた種々のサブセットが存在することはよく知られているが,こうしたサイトカイン産生は特定のサブセットに特化したものなのか,または全てのサブセットが可塑性をもって産生しうるのか不明な部分が多い.本講演では,自己免疫疾患の病態において主に病原性へ関わるサイトカイン産生性ヒトエフェクターB細胞に着目し,それらの産生メカニズムに加えて自己免疫疾患の病態における機能的な役割について紹介したい.