日本臨床免疫学会会誌
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専門スタディー1-2 B細胞 制御性B細胞における抗原特異性について
鎌田 昌洋
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2016 年 39 巻 4 号 p. 315

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抄録

  元来,B細胞は抗原特異的な抗体を産生することで病原体や異物を中和し免疫を促進すると考えられてきたが,近年,炎症や自己免疫を抑制するB細胞のサブセットが知られるようになった.そのようなB細胞は制御性B細胞とよばれ,中でも抑制性サイトカインであるIL-10を産生するB細胞が最も広く研究されている.IL-10産生制御性細胞は,IL-10産生を介して抗原特異的T細胞の増殖やTNF-αやIFN-γなどのサイトカイン産生を抑制し,様々な免疫疾患マウスモデルでその発症や病勢の抑制に関わっていることが報告されている.IL-10産生制御性B細胞の制御機能には,IL-10だけでなく,IL-21受容体,CD40,MHCクラスII分子が必要であり,T細胞との密接な相互作用が重要であることが明らかになったが,抗原特異性の必要性については不明な点が多い.既に抗原感作されたマウスから得られたIL-10産生制御性B細胞は,感作されていないマウスから得られたものと比較して強い免疫抑制機能を有していることから,抗原特異性が重要であることは以前より示唆されてきた.IL-10産生制御性B細胞における抗原特異性の必要性を調べるには,その希少性が解明を阻んでいたが,我々はnaiveなB細胞をIL-10産生制御性B細胞に分化させる培養システムを開発した.更には抗原特異的なIL-10産生制御性B細胞を分離することにより,制御性B細胞が機能する上で抗原特異性が必要であるか,接触皮膚炎マウスモデルを用いて検証した.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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