日本臨床免疫学会会誌
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学会特別企画 分子標的薬のアニュアルレビュー
学会特別企画 分子標的薬のアニュアルレビュー2 膠原病における分子標的薬の動向
齋藤 和義田中 良哉
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2016 年 39 巻 4 号 p. 329

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抄録

  この10余年の間に関節リウマチ(RA)領域における診断・治療は目覚ましい進歩を遂げた.この成功をもたらした要因の1つが分子標的療法の登場である.現在,RAに対してTNFやIL-6を阻害する生物学的製剤はバイオシミラーも加えて7剤で,さらにT細胞選択性共刺激阻害剤アバタセプト,新たな低分子化合物としてトファシチニブも上市された.これらの分子標的療法は,治療の目標をより高いものへと導くとともに,目標が明確であることにより疾患における標的分子の役割などに関しても重要な情報を齎した.また,炎症性サイトカイン阻害剤は,RA以外のベーチェット病,強直性脊椎炎,炎症性腸疾患などの膠原病に対しても有効であった.海外では既に抗BLyS抗体がSLEに対して承認されたが,本邦でもアバタセプト,抗IFN受容体抗体,抗CD40抗体,抗CD28抗体などの臨床試験が進行中であり,既存のステロイド中心の治療からのパラダイムシフトが期待されている.抗CD20抗体は血管炎症候群に対して,IL-17カスケードに対する抗IL-17抗体,抗p40抗体などは乾癬関連疾患に対して非常に高い有用性を示され保険収載された.しかしながら効果不十分である場合もあり,現在,異なるMOA(抗IL-6,抗GMCSF受容体,抗フラクタルカインなど)による薬剤が開発されて臨床試験中である.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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