2016 年 39 巻 4 号 p. 330
小児免疫疾患として,リウマチ疾患,膠原病疾患,原発性免疫不全症,アレルギー疾患が存在する.小児期特有の疾患も存在するが,小児,成人で病態が類似する疾患も多く,関節リウマチにおける抗TNF-製剤のように,まず成人で承認された後,小児でも追加承認されることをしばしば経験する.一方,小児期で発症する事が多い自己炎症症候群では,クリオピリン関連周期熱症候群におけるカナキヌマブのように,成人・小児と同時に承認され,小児科で比較的多数用いられている分子標的薬も存在する.本総説では現在小児の免疫疾患で使用されている分子標的薬についてできるだけ網羅的に概説する.小児免疫疾患の分子標的薬の検討が,分子標的薬の全体的な理解につながる事を期待する.