日本臨床免疫学会会誌
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ビギナーズセミナー
ビギナーズセミナー12 制御性T細胞の分化と可塑性
吉村 昭彦中司 寛子染谷 和江
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2016 年 39 巻 4 号 p. 343

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抄録

  坂口教授によって発見された制御性T細胞(Treg)は,現在では免疫寛容の誘導や維持に必須の細胞として確立している.Tregは末梢や試験管内でTGFβによって誘導されるpheripheral Treg(pTreg)もしくはinduced Treg(iTreg)と胸腺で発生するthymice Treg(tReg)(もしくはnatural occurring Treg(nTreg)とも呼ばれる)の2種類が知られておりともにFoxp3をマスター転写因子とする.我々はTGFβは転写因子Smad2/3を介してFoxp3を誘導することを示した.一方nTregの発生のメカニズムは十分理解されていない.nTregの発生には自己抗原を介した強いTCR刺激によるFoxp3の誘導の他,DNA脱メチル化などのepigeneticな修飾が必要とされる.我々は核内受容体NR4aファミリーが強いTCR刺激によって誘導されFoxp3の転写を直接活性化しnTregの誘導に必須の役割を果たすことを見いだした.またiTregではepigeneticな修飾が起こらないために不安定であると考えられてる.このようなnTregにおけるDNA脱メチル化にはTETと呼ばれる酵素が関与する.TETを欠損させることでDNAの脱メチル化が進行せずtTregは不安定化する.また逆にTETの酵素活性を強化することでiTregをnTreg並みに安定化させることも可能である.本講演ではTregのepigenetic modificationと安定性について議論したい.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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