骨は,運動器の一部であるだけでなく,内分泌系により制御されミネラル代謝と密接に関わり,造血幹細胞を維持し必要に応じて末梢に動員する重要な免疫器官でもある.骨と免疫は全く異なった機能を持つが,制御機構は共通性が高く種々の相互作用を有する.骨代謝と免疫の境界領域である骨免疫学は,炎症性骨破壊疾患である関節リウマチの骨破壊の研究に端を発するが,免疫系ノックアウトマウスの解析や骨髄における造血幹細胞の研究など幅広く発展しつつある.
関節リウマチに伴う骨破壊を引き起こすT細胞を探索する中で,Th17が破骨細胞誘導を介して組織破壊に直接関わることが明らかになった.骨免疫学な視点から関節炎病態の理解が進む中で,TNFやIL-6を標的とした抗体医薬が臨床応用され,さらに多くの分子が創薬標的となり開発が進んでいる.
骨免疫学における近年の課題の一つは,骨髄内に存在する骨制御細胞(破骨細胞,骨芽細胞,骨細胞)および免疫系細胞の相互作用を司る分子機構の解明である.骨細胞特異的RANKLノックアウトマウスの解析によって,骨リモデリングにおける主要なRANKL発現細胞が骨細胞であることが証明された.神経系制御因子による骨の制御,γδT細胞の骨折治癒での役割や,敗血症における免疫不全における骨芽細胞の役割など最新の話題にも触れ,骨免疫学の歴史と現状を概説し,治療応用への展望を述べる.