日本臨床免疫学会会誌
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ランチョンセミナー
ランチョンセミナー3 関節リウマチの治療前バイオマーカーによる個別化医療の開発
吉崎 和幸
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2016 年 39 巻 4 号 p. 362

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抄録

  関節リウマチ(RA)治療においては,コンパニオン治療の分子標的治療薬が開発され,治療の革命が起こっている.しかし,開発が促進するあまり数多くの治療薬が使用可能となり,その結果,治療開始薬の選択が困難である.このため我々は,個々の患者に最良の治療薬を適応するため,治療結果を予測可能にするコンパニオン診断治療薬の開発を試みた.

  トシリズマブ(抗IL-6)およびエタネルセプト(抗TNF-a)治療を行ったRA患者の治療前血中のバイオマーカー31項目を,多項目同時測定法(マルチプレックスアッセイ)を用いて測定し,治療効果を予測できるマーカー群の同定を試みた.

  目的変数を16週後の実測DAS28-CRP scoreとして重回帰分析をしたところ,8項目のバイオマーカーの組合せで予後が予測できること,また,16週後のDAS28-CRPが2.3以下を寛解として多重ロジスティック解析を行ったところ,寛解予測マーカーとして4項目が抽出された.

  以上のように,多項目同時測定法(マルチプレックスアッセイ)はRA患者の治療効果を予測し,治療選択に有用なツールとなることが示唆された.即ち,RA治療分野においても個別化医療が可能になることが示された.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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