日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-04 解糖系代謝阻害剤3-ブロモピルビン酸はマウス関節炎を抑制する
岡野 隆一三枝 淳西村 啓介明石 健吾西田 美和高橋 宗史千藤 荘上田 洋大西 輝古形 芳則森信 暁雄
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2016 年 39 巻 4 号 p. 376b

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抄録

  近年,Th17細胞,樹状細胞(DC)の分化成熟時には,通常では発現の低いhexokinase 2(HK2)の発現が増加し,解糖系代謝が亢進していることが報告されている.【目的】HK2特異的阻害剤3-ブロモピルビン酸(BrPA)のSKGマウス関節炎抑制効果を明らかにする.【方法】SKGマウスに関節炎を発症させ,BrPA(5 mg/kg)を連日皮下注射で投与して関節炎スコアや免疫担当細胞の増減を評価した.またin vitroで,CD4+ T細胞をTh17細胞に分化させる条件下,あるいは骨髄細胞をDCに分化させる条件下でBrPAを添加し,FACSで解析した.【結果】BrPA投与群では対象群と比べて関節炎スコアが有意に低下した.投与群では脾臓におけるTreg細胞の割合が有意に上昇していた.CD40+CD86+CD11b+CD11c+DC(activated DC)の割合は治療群で有意に減少していた.In vitroにおいてはBrPAはTregへの分化を促進し,Th17細胞への分化を抑制した.またBrPAは骨髄細胞のactivated DCへの成熟を抑制した.【結論】HK-2特異的阻害剤BrPAはマウス関節炎を抑制した.ヒト関節リウマチにおいても,解糖系代謝酵素阻害は有効な治療ターゲットとなり得ると考えられた.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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