2016 年 39 巻 4 号 p. 386a
【目的】ループス腎炎(LN)に対する寛解導入期におけるミコフェノール酸モフェチル(MMF)の短期的治療効果を検討する.【方法】当院で寛解導入治療としてMMFを投与されたLN患者の治療成績について後向きに解析した.完全寛解(CR)を尿蛋白0.5g/gCre未満かつ正常GFRもしくは正常GFR下限から90%以内への改善,部分寛解(PR)を尿蛋白3.5g/gCre未満への半減,かつ正常GFRもしくは正常GFR下限から90%以内への改善と定義した.【結果】全24例(女性20例)のうち,13例が前治療不応例もしくは再燃例であり,11例は初回寛解導入例であった.全例の治療開始1,3,6ヶ月後のCR達成率は,それぞれ17%(4/24),33%(8/24),43%(10/23)であった.初回寛解導入例の1,3,6ヶ月後のCR達成率はそれぞれ27%(3/11),64%(7/11),80%(8/10)であり,PR達成率は1,3,6ヶ月で45%(5/11),91%(10/11),100%(9/9)であった.6ヶ月時点での治療抵抗性に関連する因子として尿蛋白 ≥ 3.5g/g・Cr(p = 0.019),CH50低値(p = 0.046),SLEDAI-2K高値(p = 0.023),V型を含む腎生検所見の既往(p = 0.040),前治療不応(p = 0.003)が挙げられた.【結語】LNの初回寛解導入治療としてMMFの治療成績は良好であり,再発・難治例に対してもMMFが有効である症例が存在する.また初回寛解導入例ではMMF治療開始後,比較的早期から効果発現が期待できる.