2016 年 39 巻 4 号 p. 386b
【目的】SLEの疾患活動性上昇に伴ってリンパ球上に発現するP糖蛋白質(P-gp)は,薬剤細胞外排出にて治療抵抗性を齎すが,P-gp発現リンパ球の組織侵襲への関与は不明である.P-gpおよびTh1ケモカイン受容体発現と組織侵襲との関連を解析した.【方法】標的分子を末梢血CD4+cellはフローサイトメーターで,組織浸潤CD4+cellは免疫組織染色で評価した.【結果】SLEでは健常人に比してCCR5発現は有意差なく,CXCR3は有意に発現増強し,P-gpはCXCR3+CD4+cell上に優位に発現した.P-gp+CXCR3+CD4+cell比率は臓器障害の有無で有意差なく,活動性LNと活動性NPSLE(ANPSLE)で上昇傾向あり,活動性増殖性ループス腎炎(APLN)で有意に上昇し,APLNとANPSLE併発例で更に上昇した.APLNの腎間質にP-gp+CD4+cell集簇を認めた.PLNとNPSLEでCD4+cell上CXCR3とP-gp発現は有意に正相関した.APLN,ANPSLEで末梢血P-gp+CXCR3+CD4+cell増加を認め,IVCY等にて消失するとともに疾患活動性は低下した.【結論】P-gp+CXCR3+CD4+cellはPLNとNPSLEに優位に出現して神経・腎臓障害を齎し,その制御が治療抵抗性克服に重要である.