日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-32 IgG4関連疾患の病態におけるIL-32の関与
山本 元久櫻井 のどか鈴木 知佐子高橋 裕樹
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2016 年 39 巻 4 号 p. 390b

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抄録

  【目的】IL-32は,TNFαとともに炎症の慢性化に関連するサイトカインとして注目されている.今世紀に疾患概念が確立された新規疾患,IgG4関連疾患も,全身性慢性炎症疾患の一つであり,ステロイド休薬寛解が難しい疾患で知られている.今回,私たちは,IgG4関連疾患の病因におけるIL-32の意義について,唾液および組織解析により検討した.【方法】当科通院中のIgG4関連唾液腺炎20名の唾液と15名(休薬寛解5例,維持療法必要群10例)の顎下腺標本を対象とした.コントロールとしてシェーグレン症候群20名の唾液と5名の小唾液腺標本を用いた.各疾患症例の唾液を採取し,唾液中IL-32濃度をELISA法で測定した.次に各疾患の唾液腺標本を用い,IgG,IgG4,CD68,IL-32,TNFα発現を免疫染色にて解析した.【結果】唾液中のIL-32は,シェーグレン症候群に比較し,IgG4関連唾液腺炎の方が高値を呈したが,有意差は認めなかった(P = 0.06).しかし組織においてはIgG4関連唾液腺炎維持療法必要群において,IgG4関連唾液腺炎休薬寛解群,シェーグレン症候群群に比較しIgG4,IL-32,TNFα陽性細胞数が有意に多かった.他は差を認めなかった.【結論】IgG4関連唾液腺炎の炎症の慢性化にIL-32が関与する可能性が示唆された.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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