日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P1-42 リツキシマブ治療を行った小児ステロイド依存性ネフローゼ症候群症例の臨床的免疫学的検討
清水 正樹井上 なつみ水田 麻雄谷内江 昭宏
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2016 年 39 巻 4 号 p. 395b

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抄録

  【はじめに】近年ネフローゼ症候群(NS)に対して抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブ(RTX)の有効性が報告されたが,その機序については不明である.また一部の症例では,B細胞の再出現とともにNSの再発を認める.今回我々は当科でRTX治療を行った小児NS症例の臨床的免疫学的検討を行った.【対象および方法】対象は当科でRTX治療(375mg/m2,1週毎4回)を行った小児ステロイド依存性ネフローゼ症候群7例(平均年齢19.6歳,性別:男性6例,女性1例).RTX治療前から治療後にかけ経時的にフローサイトメトリー法で末梢血リンパ球亜群解析を行い,臨床像と比較検討した.【結果】RTX開始後6例でステロイド薬を中止できた.B細胞の再出現を3例に認め,1例は再出現後にNSの再発を認めた.再発を認めなかった2例は無投薬で寛解を維持できている.RTX治療開始1週後には全例で末梢血B細胞は < 0.1%となったが,2例においてRTX2回目投与時に再発を認めた.T細胞数やCD4/8比,NK細胞数の治療後の推移については症例間のばらつきが大きく,一定の傾向は認められなかった.またB細胞再出現時のnaive B細胞,mature B細胞,memory B細胞の割合についても,寛解例,再発例において差を認めなかった.【結語】NSにおいてリンパ球亜群の割合は症例によりばらつきが大きく,一定の傾向を認めなかった.今後新たな指標の確立,NSの病態理解に向け多数例での免疫学的検討が望まれる.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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